医療施設近代化施設整備事業実施要綱 1 目的
この事業は、医療資源の効率的な再編及び地域医療の確保に配慮しつつ、病院におけ る患者の療養環境、医療従事者の職場環境、衛生環境等の改善及びへき地や都市部の診 療所の円滑な承継のための整備等を促進し、もって医療施設の経営の確保を図ることを 目的とする。
2 補助対象
日本赤十字社北海道支部、北海道厚生農業協同組合連合会、社会福祉法人、健康保険 組合及びその連合会、その他知事が適当と認める者(ただし、地方公共団体及び地方独 立行政法人を除く。)が開設する医療施設の患者療養環境、医療従事者職場環境、衛生 環境等の改善のための施設整備事業
なお、交付の対象となるのは北海道が策定する地域医療構想に基づいた(予定も含む) 施設整備を対象とする。ただし、精神病棟、結核病棟及び無床診療所の整備は必ずしも 地域医療構想に基づいたものである必要はない。また、医療施設近代化施設整備事業に より整備する区域は補助金の返還義務が生じる期間内は、地域医療介護総合確保基金を 活用した施設整備を実施することができない。
3 補助条件
(1)病院(改修(一部増築を含む)により療養病床を整備する病院は除く)
(絶対条件)
建物の老朽化等による建替等のための整備事業において、次の①から⑨をすべて満 たすこと。
ただし、前年度以前より医療施設近代化施設整備事業費補助金の交付を受けている 病院については、⑥のうち整備完了後に付される条件を除き、医療施設近代化施設整 備事業費補助金を最初に交付された年度の絶対条件を適用する。
① 建替整備(改築及び移転新築)を伴う場合は、整備区域は築後概ね30年以上経 過又は激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和37年法律 第150号)第2条第1項の規定により指定された激甚災害に係る地震により被災 していること。
② 整備後の整備区域の病棟の一床ごとの病室面積を6.4㎡以上(改修の場合は5. 8㎡以上)、かつ 、一床当たりの病棟面積を18㎡以上(改修の場合は16㎡以上) 確保すること。
③ 直近の医療監視時における医師・看護師の現員の職員数の標準に対する比率が、 原則として、いずれか一方が医療法上の標準を満たしており、かつ、他方が80% 以上であること。
④ 精神科病院にあっては、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年 法律第123号。以下「精神保健福祉法」という。)第18条に基づく常勤の精神 保健指定医が2名以上配置されている病院であること。ただし、病床数が100床 未満の病院にあっては、常勤の精神保健指定医が1名以上配置されている病院であ ること。
⑤ 次に掲げるア~ノのうち、いずれかに該当する病院であること。ただし、整備区 域の病棟の病床数を20%以上削減する場合はこの限りではない。
ア 平成13年5月16日医政発第529号医政局長通知「へき地保健医療対策事
業について」に基づくへき地医療拠点病院
イ 昭和52年7月6日医発第692号医務局長通知「救急医療対策の整備事業に ついて」に基づく次の病院
(ア)病院群輪番制等に参加している病院
(イ)共同利用型病院
(ウ)救命救急センター又は救命救急センターを設置している病院
ウ 平成10年6月11日健政発第728号厚生省健康政策局長通知「地域医療研 修施設の整備について」に基づく地域医療研修施設
エ 昭和55年11月4日医発第1105号厚生省医務局長通知「腎移植施設の整 備事業について」に基づく腎移植施設
オ 昭和57年1月22日医発第85号厚生省医務局長通知「老人デイケア施設の 整備事業について」に基づく老人デイケア施設
カ 昭和59年10月25日健政発第263号健康政策局長通知「共同利用施設の 整備について」に基づく共同利用施設
キ 平成21年3月30日医政発第0330011号厚生労働省医政局長通知「周 産期医療対策事業等の実施について」に基づく周産期医療施設
ク 平成6年6月23日健政発第495号健康政策局長通知「研修医のための研修 施設整備事業の実施について」に基づく研修医のための研修施設を整備する病院 ケ 指定訪問看護を担当する病院
コ 老人在宅介護支援センター実施病院
サ 平成20年厚生労働省告示第62号「基本診療科の施設基準等」に基づく緩和 ケア病棟届出施設
シ 外来患者の院外処方箋率が30%を越える病院 ス 精神保健福祉法第19条の8に基づく指定病院
セ 平成20年厚生労働省告示第63号「特掲診療科の施設基準等」に定める基準 を満たす精神科作業療法、精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナ イト・ケア、又は重度認知障害者デイ・ケアを実施している精神科病院
ソ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法 律第123号。以下「障害者総合支援法」という。)第5条第15項に規定する 共同生活援助を実施している精神科病院
タ 昭和57年10月20日付け保健第2056号北海道衛生部長通知「北海道精 神衛生職親事業実施要綱等の制定について」に基づく精神障害者職親事業を実施 している精神病院
チ 平成12年4月11日付け障福第89号北海道保健福祉部長通知「保健所及び 市町村における精神保健福祉業務について」に基づき実施される地域精神保健活 動に協力支援している病院
ツ 障害者総合支援法第5条第7項に規定する生活介護を実施している精神科病院 テ 障害者総合支援法第5条第12項に規定する自立訓練を実施している精神科病
院
ト 障害者総合支援第5条第13項に規定する就労移行支援を実施している精神科 病院
ナ 障害者総合支援法第5条第14項に規定する就労継続支援を実施している精神 科病院
ニ 障害者総合支援法第5条第16項に規定する相談支援を実施している精神科病 院
ヌ 障害者総合支援法第5条第25項に規定する地域活動支援センターを運営して いる精神科病院
ネ 障害者総合支援法第5条第26項に規定する福祉ホームを運営している精神科 病院
ノ 北海道が医療対策協議会における議論を踏まえて決定した医師派遣等(国が派 遣の決定を行うものを含む。)を実施する病院
⑥ 上記⑤に掲げるア~ノのうち、いずれかに該当する病院については、整備区域の 病棟の病床数を10%以上削減し、そのまま病院全体の医療法の許可病床数を削減 すること。ただし、北海道の医療計画上病床非過剰地域においては、病床削減を必 要としないが、増床を伴う整備計画でないこと。
なお、⑤及び上記規定の適用に当たっては、医療法第30条の4第7項若しくは 第8項に基づいて特例的に許可される病床又はこれに準じるものと北海道医療審議 会の意見を聴いた上で知事が判断した病床(以下「特例病床等」という。)の数の 増加分を整備後の整備区域の病床数から除くことができるものとする。この場合に おいて、特例病床等の数の増加分については、国庫補助の対象とならないものとす る。
また、上記のように整備計画で病床数を削減すること又は増床を伴わないことに 加えて、整備完了後においても増床(特例病床等に係る増床を除く。)しないこと。
⑦ 整備後の病棟には患者食堂又は談話室を整備するとともに、スロープを設置する 等、高齢者・身体障害者に配慮した整備をすること。
⑧ 整備区域の病棟は、最低20床以上の病棟とすること。
⑨ 精神科病院及び精神病棟にあっては、整備後の整備区域の病棟には畳部屋、6床 を越える病室及び原則として鉄格子を設けないこと。
(加算条件)
⑩ 病棟のほか、患者サービスの向上等を図るため、次の事業を併せて整備する場合 は、補助対象基準面積の加算をする。
ア 患者の療養環境改善の整備
イ 医療従事者の職場環境改善の整備 ウ 衛生環境改善の整備
エ 業務の高度情報処理化及び快適環境の整備
オ 乳幼児を抱える母親の通院等のための環境の整備(授乳室、託児室等)
⑪ 医療機関の情報化の推進を図るため、電子カルテシステムを併せて整備する場合 は、次の条件を満たす場合に限り、補助対象基準額の加算をする。
ア 原則として建替整備であること。
イ 「厚生労働省委託事業における用語/コード標準化委員会の開発方針」に基づ いた標準マスター(病名、手術・処置、医薬品、検査、医療材料)を使用するこ ととし、必要に応じて厚生労働省が行う調査に協力すること。
ウ 診療情報管理や診療情報提供等を行う体制が整備されていること。
エ 近隣の医療機関から診療情報の共有化等の申し出があった場合には、協力する こと。
オ 審査支払機関に対し、磁気テープ・フロッピーディスク・光ディスクを用いた レセプトの電子的請求をすること。
(2)改修(一部増築を含む)により療養病床を整備する病院
(ただし、整備区域において一般病床から療養病床に転換する病院を除く) 次の①から④をすべて満たすこと
① 改修(一部増築を含む)により整備する病棟の1床ごとの病室面積を6.4㎡以 上、かつ、1床当たりの病棟面積を18㎡以上確保すること。
② 機能訓練室、患者食堂、談話室及び浴室を必ず設置すること。
③ 整備区域の病棟の病床数を10%以上削減し、そのまま病院全体の医療法の許可 病床数を削減すること。ただし、北海道の医療計画上病床非過剰地域に所在する病 院等については、病床削減を必要としないが、増床を伴う整備計画でないこと。
なお、上記のように整備計画で病床数を削減すること又は増床を伴わないことに 加えて、整備完了後においても増床しないこと。
④ 療養病床の転換整備は、最低20床以上の病棟とすること。
(3)結核病棟改修等整備事業
(絶対条件)
次の①から⑤をすべて満たすこと。ただし、加算条件に規定する整備のみを行う場 合においても補助対象事業とする。
① 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第1 14号)第38条の規定に基づく感染症指定医療機関(結核病棟を有するものに限 る。)であること。
② 建替整備(改築及び移転新築)を伴う場合は、整備区域は築後概ね30年以上経 過していること。
③ 整備後の整備区域の病棟の1床ごとの病室面積を6.4㎡以上(改修の場合は5. 8㎡以上)、かつ、1床当たりの病棟面積を18㎡以上(改修の場合は16㎡以上) 確保すること。
④ 直近の医療監視時における医師・看護師の現員の職員数の標準に対する比率が、 原則として、いずれか一方が医療法上の標準を満たしており、かつ、他方が80% 以上であること。
⑤ 整備区域の病棟の病床数を10%以上削減し、そのまま病院全体の医療法の許可 病床数を削減すること。ただし、結核病棟においては、病床利用率が極めて低く、 また、病院間の病床利用率の格差が大きい実情に鑑み、北海道の医療計画上病床非 過剰地域に所在する病院又は他の病院で同規模の削減が可能な場合については、整 備を行う病院における病床削減は必要としないが、増床を伴う整備計画でないこと。
なお、上記のように整備計画で病床数を削減すること又は増床を伴わないことに 加えて、整備完了後においても増床しないこと。
(加算条件)
陰圧化等空調整備を併せて行う場合は、補助対象基準面積の加算をする。
(4)診療所
次のいずれかを満たすこと。
① 承継に伴う診療所の施設整備
次のアからオのすべてを満たすこと。
ア 以下のいずれかの条件に該当し、かつ、事業実施年度の前年度、当該年度、又 は翌年度の承継に伴う施設整備であること。
・ 山村振興法(昭和40年法律第64号)第7条第1項の規定に基づく指定 地域
・ 過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)第2条第1項に 規定する地域(過疎地域活性化特別措置法(平成2年法律第15号)の失効 に伴う経過措置については、別に定める。)
・ 離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定に基づく指定 地域
・ 半島振興法(昭和60年法律第63号)第2条第1項の規定に基づく指定 地域
・ 豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)第2条第2項の規定 に基づく指定地域
イ 救急患者の搬入口の整備をすること。
ウ 高齢者・身体障害者等に配慮したスロープの整備をすること。 エ 療養指導室の整備をすること。
オ 小児科を標榜するものについては、乳幼児を抱える母親の通院等のための環境 整備(授乳室・託児室等)をすること。
② 改修等(新規開設を除く)により療養病床を整備する診療所
(ただし、整備区域において一般病床から療養病床に転換する診療所を除く) 次のアからオをすべて満たすこと。
ア 北海道の医療計画上病床非過剰地域に所在する診療所であり、当該整備計画は 非過剰病床数の範囲以内であること。
イ 整備区域の病床数は、医療法施行規則等の一部を改正する省令(平成10年厚 生省令第35号( 以下「平成10年改正省令」という。) )の施行の際、現に 医療法第7条第1項の開設の許可を受けている診療所、又は第8条の届け出を行 っている診療所の病床数の範囲内であること。
なお、増床を伴う整備計画でないこと。
ウ 建替整備(改築及び移転新築)を伴う場合は、築後概ね30年以上経過してい ること。
なお、移転新築の場合は、同一医療圏内での整備計画であること。
エ 改修等により整備する療養病床の1床ごとの病室面積を6.4㎡以上確保し、 かつ、以下のいずれかを満たすものであること。
(ア)1床当たりの病棟面積を18㎡以上確保する
(イ)1床当たりの病室面積を8㎡以上確保する
オ 機能訓練室、患者食堂、談話室及び浴室を必ず設置すること。(談話室は、患 者食堂と兼用でも可)
(5)療養病床療養環境改善事業
病院・診療所における療養病床の療養環境改善のための整備事業において、次の① から③をすべて満たすこと。
① 療養病床に必要な機能訓練室、患者食堂及び浴室の全部又は一部の整備事業であ ること。
② 病室の整備が伴わない整備計画であること。ただし、①の整備に当たり既存病室 を転用する場合はこの限りでない。
③ 整備後は、医療法及び医療法施行規則本則に定める療養病床の構造設備の基準を
満たすこと。なお、廊下幅に限り、平成5年改正省令附則、平成10年改正省令附 則及び平成12年改正省令附則に定める経過措置の基準を適用しても差し支えない ものとすること。
(6)介護老人保健施設等整備事業
医学的管理の下に介護・リハビリ等を行う介護老人保健施設等を整備するにあたっ て、次の①~③をすべて満たすこと。
① 既存の病院若しくは有床診療所の病床を削減(病床の廃止を含む)した上で、介 護老人保健施設を整備すること。ただし、廃止する場合には、診療所(既存の病院 の外来部門を活用することも可能とする。)を併設させること。
② 介護老人保健施設の定員は削減病床数の範囲内とすること。
③ 既存の病院若しくは有床診療所の患者を介護老人保健施設から在宅に至るまでの 診療計画に基づいて入所させる場合の整備に限ること。